COLUMN コラム

vol.15 生成AIプロンプトの変遷「直感」で答えるAIから「考える」AIへ

生成AIの世界では、2024年から2025年にかけて、推論モデルの登場という「頭脳の使い方」がガラリと変わる大きな転換期を迎えました 。

これまでは「いかにAIをその気にさせて動かすか」というテクニックが重要でしたが、今は「AIに自力で考えてもらう」新しい時代になっています 。この変化を、わかりやすく解説します。

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「直感」で答えるAIから「じっくり考える」AIへ

これまでのAI(「スケールモデル」)は、次に続く言葉をパッと予想して答える「直感タイプ」でした 。

しかし、2025年にかけて登場した最新の「推論モデル」は、答えを出す前に、頭の中で数千・数万もの言葉を使ってじっくり考える「熟考タイプ」へと進化しました 。例えるなら、これまでは「クイズに即答する人」だったAIが、「難しい数学の難問を、裏紙に何度も計算を書きながら解く人」に進化したようなものです 。

 かつてのプロンプト「魔法の言葉」が、今は「邪魔」になる理由

これまでAIを上手に使うプロンプトの書き方として「CRAFTの法則」などが教えられてきました。

つまり、

  • 背景・状況(Context)
  • 役割(Role)
  • 行動(Action)
  • 出力形式(Format)
  • 対象/トーン(Target/Tone)

の5つをきちんと指示することが重要であるとされてきました。

しかし、この5つの指示のうち、「役割(Role)」を与えたり、「行動(Action)」を細かく指示したりすることは「高速モード(スケールモデル)」を使う時には良いのですが、最新のAIである「思考モード(推論モデル)」では逆効果になることがあります 。

 「役割(Role)」は才能の無駄遣い?

スケールモデルでは「あなたはプロの物理学者です」と役割を与えると精度が上がりました 。

しかし、今の賢い推論モデルのAIに役割を与えると、AIは「その役割らしく振る舞うこと」に必死になってしまい、本来持っている高い知能をわざと抑えてしまう(=手抜きをしてしまう)ことがわかってきました 。

 「行動・手順の指定」はプロへの余計な口出し?

「ステップバイステップで考えて」と細かく指示することも、今は要注意です 。

今の推論モデルのAIは、人間が思いつかないような高度なルートで自ら正解を探し出せます。そこに素人が「まずはあっちへ行って、次はこうして」と横から口を出すと、AIが本来持っているスムーズな思考を邪魔してしまい、かえって間違いやすくなってしまうのです 。

推論モデルを使う場合の「AIとの付き合い方」

推論モデルでは、AIを「魔法使い」のように操るのではなく、優秀なパートナーに「仕事の依頼書(仕様書)」を渡すようなイメージが大切です 。

 「考え方」ではなく「ゴール」を伝える

「どう考えるか」を教えるのではなく、「何を作ってほしいか(目的)」と「絶対にやってはいけないこと(制約)」をハッキリ伝えます 。

 情報の整理整頓

AIが考えやすいように、情報を整理して渡す「コンテキスト設計」がこれからの必須スキルになります 。

結論:AIを信じて「任せる」勇気

私たちは今、AIに対して「手取り足取り教える段階」(スケールモデル)から、AIの知能を信頼して「大きな方針を示して任せる段階」(推論モデル)に移行しています 。

これからの時代に求められるのは、言葉のテクニックではなく、問題を正しく整理し、「AIに何を解かせるべきか」を論理的に組み立てる力です。AIに細かく指示する「マイクロマネジメント」を卒業して、かっこいい「指揮者」のような使い手を目指していきましょう。

※「高速モード」はスケールモデル、「思考モード」は推論モデルです。使い分けましょう。

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