「最低賃金」を隣接都道府県と比較する
以上の決まり事で、最低賃金制度は運用されているのですが、今回お伝えしたい本題は、隣接都道府県との比較についてです。
全国の隣接県を調べてみると、最も格差が大きいのは、東京都と山梨県との差「175円」次いで神奈川県と山梨県の「174円」です。
実は、これに次ぐのが、我が和歌山県と大阪府の間の「134円」となります。山梨県はほんの少しの地域が東京、神奈川と隣り合っているだけですが、和歌山・大阪の間は和歌山県の人口の約6割が暮らす地域が大阪と接しています。和歌山県の企業にとって、意識しなければならないのは、和歌山県の最低賃金「980円」ではなく、大阪府の「1114円」ということになります。
「低賃金」は通用しない時代へ
県境を越えた通勤が簡単ではなかった時代、最低賃金に表される都市部に比較して低い人件費をもって強い競争力としていたビジネスモデルが、地方のひとつの典型でした。しかし、これが通用しない状況が増々顕著になってきています。地方の中小企業こそ生き抜くためには、人件費の抑制を、低賃金に求めるのではなく、生産性の向上、DXによって取り組まなければなりません。
DX、人材採用・活用支援のプロがいます
公益財団法人わかやま産業振興財団には、DX推進員をはじめ生産性の向上を重点的に支援するスタッフがそろっていますので、ぜひ活用いただきたいと思います。
また、プロフェッショナル人材戦略拠点も、人材面から支援させていただきます。とくに、「大企業や都市部では実践済みの業務」が「地方の中小企業ではこれからが主戦場」となるようなDXなどでは、都市部在住の豊富な経験に裏打ちされた高いスキルをもったプロフェッショナル人材「副業・兼業プロ人材」の活用を、経費面での支援策も用意して、お勧めしております。ぜひ、お声がけください。
都市部に負けない生産性の向上が待ったなし
最後に、最低賃金の決定に、結果から見れば大きく影響を与えている政府の意向についてです。最低賃金の全国平均の目標として、本年「2030年代半ばまでの早い時期に1,500円」と示されました。かつて、2015年に示された1000円の目標は、コロナ禍の2020年を除き政府の目論見通り平均3%以上の引き上げで上昇し、昨年、平均1,004円となり達成されました。
また、地方においても、昨年まで全国で2番目に低かった徳島県が全国平均に近づくために、全国の目安を大きく超える84円の引き上げを決定しました。
一方、秋田県は目安額を上回る過去最高の54円の引き上げを決定しましたが、他県に追い抜かれて最低額に位置することとなりました。政府の意向、都道府県間の激しい競争もあいまって、全国平均1,500円も現実味を帯びてきたといえます。
都市部に負けない生産性の向上が待ったなしです。
和歌山県庁在職時に知事室長等を経験し、県の行政全般に関わる。 その後、和歌山商工会議所専務理事としての任期中に、新型コロナ感染症大流行の影響を受けた中小企業の支援に携わり、回復していく企業と落ち込みが続く企業の二極化を目の当たりにした。 「企業の業績アップのチャンスはプロフェッショナル人材にあり」と拠点マネージャーに就任し現在に至る。 状況に悲観せず、プロフェッショナル人材を効果的に活用してみませんか?