嫌な作業は生成AIにさせれば良い!
『嫌な作業は生成AIにさせれば良い!』これはデジタル庁の和泉憲明さん(元経済産業省)が先日ラスベガスで開催されたAI学会に参加した際にアメリカ人が口々に言っていた言葉だそうです。
私たちが良く耳にする、「AIが発達すると自分の仕事がなくなるんじゃないか?」というようなAIとの受け身の向き合い方ではなく、「嫌な作業は賢いAIにどんどんやってもらおう!」というアメリカ人の前向きな発想は、おおいに参考にするべきと思います。
自分の仕事の仕分けからはじめよう
ではどうすれば良いか?
私たちがまずやるべきことは、自分の仕事の仕分け作業です。自分の仕事を細分化し、仕事の目標や成果を達成するための本質的な(やりがいのある)業務と、それらを達成するために必要な(けれども時には苦痛なこともある)作業とに仕分けすることにより、どの作業に自分が苦痛を感じるのかを洗い出し、その部分を生成AIやRPAにやってもらうのです。
今はそうしたことが容易にかつ安価にできる環境が整ってきています。このようにすれば、自分の嫌いな仕事を最小限に抑え、好きな仕事に集中できる環境が整います。
【事例1】残業時間を短縮し、スピーディな出荷を実現
例えば、食材・食品を小売店・飲食店に販売する卸売業を営んでいる場合、顧客である小売店・飲食店の営業終了は夜間となることが多く、顧客は営業終了時に在庫を見て、翌日の不足分をFAXやメールで卸売店に発注します。
これを受ける卸売店の受注担当者は、残業して小売店・飲食店の営業終了まで待つか、または翌日の朝、大量の発注伝票の山を整理し、ひとつずつEXCELに入力し、出荷手配を行うことになります。
こういうとき、夜間に生成AIがRPA―OCR※を使って、受注伝票を自動的にEXCELにまとめてくれていれば、残業時間を解消し、労働環境が改善されるとともに、翌朝、出社と同時にたいせつな出荷の手配を開始することができ、本来の業務の効率が大きく向上します。
※ RPA―OCRとは?
OCRは手書き文字や印刷された文字をデータ化する技術であるのに対して、RPAはパソコンで行う事務業務を自動化する技術のことです。OCRとRPAは異なる技術ですが、連携することで業務プロセスの自動化が高度化され、作業時間の短縮やミスの削減、情報の正確性の向上などのメリットが得られます。具体的な導入事例は、書類処理や請求書の自動処理、在庫管理、顧客データの自動更新などです。
【事例2】社員からの問い合わせが激減
また他の事例ですが、会社の就業規則をGoogleのNotebookLMにpdfでアップしておけば、社員から総務部門へのさまざまな問い合わせの大部分は、社員自身がNotebookLMにアクセスしてFAQで知ることができ、総務が対応に忙殺されることなく、本来の業務に専念することができます。社員も問い合わせの時間を大幅に節約でき、業務の支障となることを防ぐことができます。
【事例3】AIに議事録作成や顧客の動向分析をさせれば、営業効率がUP
会議の内容を音声ファイルで録っておき、GoogleのNotebookLMに読み込ませることにより、議事録を一瞬で作成させることができます。何時間もかかる非生産的な議事録の作成が一瞬でできることにより、社員は本来の業務に専念することができます。
さらに、重要顧客とやりとりした過去のメールを複数、GoogleのNotebookLMにpdfで読み込ませ、AIに顧客の動向分析をさせることもできます。顧客のニーズや嗜好の変化を把握して、有効な営業活動をすることができ、営業効率が向上します。
AIやRPAを活用して、仕事の効率を上げましょう
みなさんも生成AIやRPAをこのように活用して、嫌いな作業を最小限にとどめ、2025年の目標を高く持って仕事のできる年にしましょう。
国内大手鉄鋼企業の製造部門で生産管理・品質管理を経験後、エンジニアリング部門でニューヨークに駐在し米国への鉄鋼技術販売に携わる。その後ドイツ大手貴金属精錬企業に転じ、副社長としてベルギー研究所副所長および東アジア地区支配人を兼務、中国、台湾、韓国、日本の支社長として会社設立・業務拡大に成功。その間、京大、阪大、中国東北大にて後進を育成。現在、地プロ事業統括者、デジ田地域DXプロデューサー、混声合唱団スティールエコー常任指揮、中国東北大名誉教授。