CASE STUDY 事例紹介

「限りない可能性に挑戦」化学の力で未来を拓く

セイカ株式会社

和歌山市に本社を構え、今年で創業70周年を迎えるセイカ株式会社(以下、セイカ)。化学の力で未来を拓く化学品中間体メーカーとして、業界を牽引しています。

同社の主力製品である芳香族ジアミンは、高機能性樹脂の重要な原料として幅広い分野で活用されています。また、環境負荷の低減を目指した製品開発や原料のリサイクルにも積極的に取り組んでいます。

1955年の創業以来、国内外で事業を拡大し、2023年度には売上高約120億円を達成。その翌年、代表取締役社長に就任した竹田成宏氏は、グローバルな視点を活かした成長戦略と組織変革に挑んでいます。

本記事では、同氏のキャリアや経営理念、そして化学産業の未来を見据えたビジョンに迫ります。

DPE

DPE:5G樹脂、半導体用途、自動車用途などに使用されるポリイミド、ポリアミドイミド用のモノマー原料

アップデートイメージ

「知る」のアップデート

視座を高くして視野を広げ、過去・現在データを基に多様な視点から分析・統合し、全体最適解を求める

おススメイメージ

こんな人にオススメ!

企業の組織力を強化したい方

多彩なキャリアで磨いた経営視点

竹田氏は2007年に社会人としてのキャリアをスタート。化学専門商社に11年間勤務し、財務、経営企画、営業と多岐にわたる部門で経験を積みました。

特に経営企画室時代には、倒産した企業の再生プロジェクトに参画。その中で企業価値算定やPMI(Post-Merger Integration…M&A(合併・買収)後の統合プロセス)に関与し、自らも立案に参画した事業計画を現場で実行したいという思いを抱きました。

営業部への異動後、化粧品原料の海外販売を担当した際には、現地の法規制や商習慣を徹底的に学び、それに基づいた戦略を遂行しました。その一環として、フランス・リヨンに新オフィスを設立するなど、ドイツやフランスを拠点にグローバル市場の開拓に貢献しています。

家業発展への決意

こうした経験を経て、2018年に祖父が創業したセイカに、家業発展への決意を胸に入社しました。背景にはその8年前の祖父との別れがありました。

祖父が亡くなり、遺影を抱き乗った霊柩車の外には、道の両側に大勢の従業員が静かに並び、心から見送る姿がありました。その光景が今でも目に焼き付いていると話す竹田氏は、祖父が築き上げた会社と支えてくれた人々の存在の大きさを痛感しています。

海南工場

幾つものプラントを有する海南工場(空撮)

組織改革への挑戦

セイカ入社後、竹田氏は化学メーカー特有の文化やビジネスモデルを徹底的に学びました。その知見をもとに経営戦略を再構築し、基盤強化の一環として、新たにSCM生産管理課と生産技術課を設立、2024年には生産技術課を生産技術部へと格上げしました。

量産化プロセスの開発を一段と強化し、研究部門と製造部門が密接に連携しながら、無駄のない効率的な生産プロセスを構築していきます。

さらに、温室効果ガス排出の削減を促進し、顧客との共同開発体制も整備。セイカの付加価値の高い製品づくりへの取組を一層加速させています。

「外の会社で働いた経験があるからこそ、セイカの良いところがたくさんわかり、一方で、古風だと感じるやり方や、足りていないと感じるところもありました。残すべきところは残し、変えるべきところは思い切って変えていく。私はそういった峻別をするために、これまで色々な人と話し、色々な場に出て学んできたのだと感じています」

従業員が自分の子供を働かせたい企業へ

セイカ社長

インタビューに応じる竹田氏

また、従業員の意識改革を経営の重要課題に位置づけています。幕末長州藩の尊王攘夷志士として活躍した高杉晋作の辞世の句「面白きこともなき世を面白く」にならい、「仕事を面白いと思えるかどうかは自分の心次第」と話し、日ごろは現場で従業員と直接交流し、課題を把握しながら士気を高める取組を続けています。

具体的には、従業員一人ひとりのキャリア形成を支援し、将来の役職やスキルアップのビジョンを共有。新たな報酬制度や表彰制度の導入も検討しています。

「金銭的報酬だけでなく、仕事への充実感や達成感が大切」としながら、従業員が将来自分の子供を働かせたいと思うほどにやりがいを感じてもらえる会社になることが、人材育成だけでなく、未来の人材確保にも繋がると考えています。

グローバル市場への展開

さらに竹田氏は、売上高を「社会に提供した価値の総和」と捉え、単なる規模の拡大ではなく、国際社会で通用する組織としての持続的な成長を目指します。

特に、中国市場や成長著しいインド市場への展開を重視し、現地のニーズを的確に把握しながら、現地パートナーとの連携を深めることで、セイカグループ全体の競争力を高めようとしています。

イノベーション宣言——「限りない可能性に挑戦」化学の力で未来を拓く

セイカの社是

セイカの社是

最後にセイカがこれから起こすイノベーションについて、竹田氏に伺いました。

「世紀の発明家エジソンも、自身の発明を世に広める努力をしたと言われています。『品質第一』、『原価逓減』、『研究努力』、これら当社の社是は、当社の製品である原料を世の中で広くお使いいただくために必須な3つの要素です。この社是を忠実に実行し、革新的な製品を生み出すだけでなく、より多くの方にお使いいただくことが未来を拓く私達のイノベーションです」

セイカは、伝統を守りつつ革新を続ける企業として、社会に新たな価値を提供し続けています。その未来は限りない可能性に満ちています。

竹田社長。大切にしていることは「すべては自分の心次第。成長できると信じて、目の前のことに前向きに取り組むことを大切にしている」だと語ってくれた

竹田 成宏 氏 プロフィール

1985年  和歌山市生まれ
2007年  長瀬産業株式会社 入社
2018年  セイカ株式会社 入社
2024年  セイカ株式会社 代表取締役社長に就任

会社名 セイカ株式会社
所在地 〒640-8232
和歌山県和歌山市南汀丁8
創業 1955年
TEL 073-433-2191
URL https://waseika.com/
業種 高機能性ポリマー原料、エポキシ・ウレタン硬化剤、各種中間物・工業薬品の研究・開発及び製造・販売

同社が過去に活用した「和歌山県プロフェッショナル人材戦略拠点」の詳細はこちら
※この記事は、2025年3月26日発行「わかやま産業通信19号」に掲載した内容を転載し、web用に改修したものです。

この記事をシェアする

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • LINEでシェアする

カテゴリ

注目ワード