COLUMN コラム

vol.06 事業を始めるときの器を考えてみよう!<その1>個人事業主?それとも法人?

事業を始めるとき、「個人事業主(以下、個人)」で始めるか、「法人」で始めるか、悩まれている人もおられるのではないでしょうか?

実際のところ、わかやま地域課題解決型起業支援補助金(わくわく事業)の採択者を見ると、まずは「個人」として事業をスタートされる方が7~8割と多くなっています。

たとえ「個人」としてスタートした後も、「個人」のままで行くのか、途中で「法人」にするのか、そして、「法人」にするなら「いつ」のタイミングにするのか、と悩まれる場合もありますよね。

今回は、事業を始めるときのこの「器」について、2回の連載に渡って解説したいと思います。

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個人事業主のメリット

「わくわく事業」において、「個人」で起業することを選択する方が多い理由には、いくつかあると思います。以下にそのメリットを解説します。

開業の手続きがカンタン

まず、「個人」の場合の手続きとしては、税務署に「開業届」を提出するだけです。費用もかかりませんし、簡単、手軽です。一方、「法人」の場合は、設立の費用に10~30万円程度(「法人」の種類によります。「法人」の種類については、別の機会にご紹介します)は予定をしておいた方がよく、公証役場→法務局→市町村→県・税務署等での手続きがあり、時間もかかり、煩雑です。

開業届の提出方法3種類「開業届の提出はどこへ?」

① インターネット(e-Tax)
② 郵送
開業届を郵送する宛先は、納税地を管轄する税務署です。個人事業主の場合、納税地は原則自宅の住所地になります。

和歌山県内の「税務署一覧」(和歌山県庁公式HP) 

③ 税務署の窓口に持参
最寄りの税務署は、上記の「税務署一覧」をご覧ください。

税金の申告作業がラク

毎年の税金の申告作業についても、「個人」であればご自身で申告書を作ることも可能ですが、「法人」の申告書は複雑で、ご自身で申告書を作成するのはなかなか難しく、専門家に依頼するとなると費用もかかってしまいます。

赤字の場合、納税義務が発生しない

また、「個人」の場合は赤字だと納税はありません。しかし、「法人」は赤字でも納税(「均等割り」といいます)があります。

法人設立のメリット

とはいえ、それを上回るメリットがあるから、法人設立を選ぶ人がいるわけです。
法人設立のメリットの大きなところは、以下のとおりです。

信用力が高い・融資を受けやすい(条件が良い)

まず、「法人」には、設立が難しい分、信用力があります。会社によっては、「個人」とは取引しないという制約を設けている場合もあります。融資を受けやすい(または条件が良い)傾向もあります。また、「信用力」があるという点に含まれますが、「人を採用しやすい」面もあると思います。
雇われる側の心情としては、法人の方が安心感があるのではないでしょうか。

節税に有利

加えて、例えば「役員報酬」「保険料」などのように費用に計上できる経費項目が多く、節税できる可能性も高くなります。また、赤字を翌年以降の黒字と相殺できる期間が長いです。つまり、「個人」の場合は黒字が出ても3年を過ぎるとそれ以前の赤字と相殺できなくなりますが、「法人」の場合は10年に渡って繰り越しができます。

役員報酬がある(ご自身に対してお給料が支払えます)

そもそも、「個人」は個人と事業のお財布が同じになりますが、「法人」の場合は役員報酬として毎月のお給料的なものがあり、事業と個人のお金を分けることができたり、役員報酬には給与所得控除(税務署が認める経費のようなもの)が適用できるため節税になります。

代表者も社会保険に加入できる

そしてもう1つ、「法人」の場合は、代表者も社会保険に入ることができます。「個人」の場合は、従業員さんに社会保険を用意できても、ご自身は加入できません(社会保険の仕組みについては、また別の機会にご紹介しますね)。

決算期を自由に決められる

その他にも、「個人」は決算期が強制的に「12月」になりますが、「法人」は自由に決めることができます。

岡のオススメは法人設立

いかがでしょうか?

「個人事業主」での開業・運営のほうがお金と手間がかかりにくいですが、そもそも「(営利)法人」というのは事業拡大させるための器ですから、成長志向の事業向けなのですね(NPO法人や、一般社団法人等は別です)。

活力のある地域をつくるためにも、事業をするなら、いろんなメリットを活用しながら、法人として事業を成長させるという選択肢を選んでもらえると嬉しいなぁと思います。

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