すべての日本企業に必要な能力「ダイナミック・ケイパビリティ」とは
このときに必要な能力が「ダイナミック・ケイパビリティ」です。これも経済産業省の「ものづくり白書2020」で紹介され、これまでの日本の企業に欠けていた能力として紹介されています。「ダイナミック・ケイパビリティ」とは3つの構成要素から成り立っています。3つの構成要素とはすなわち、下記の3つです。
- 脅威や危機を感知する「感知力(センシング)」
- 機会をとらえて競争力を獲得する「補足力(シージング)」
- 競争力を持続的にするため組織全体を刷新する「変容力(トランスフォーミング)」
つまり経営者には、事業に迫る危機や新しい機会を敏感に感じ取り、見つけた機会をすばやく掴みとり、これを利用して事業の進む方向を見定めたら組織の体制を固める、という3つの能力が必要であるということです。
経営者や従業員に求められるのは「正しいことを行う」という行動規範
このとき経営者や従業員に何よりも求められるのは「正しいことを行う」という行動規範です。事業の新しい目標を立てて、これまでに経験のないことを始めれば、当初の小さなつまずきや失敗はどうしても避けられません。こうしたときに従来の「ものごとを正しく行う」という“失敗を許さない行動規範“にこだわっていれば先に進むことができず、新規事業はたちまち行き詰ってしまいます。そんな時、「正しいことを行う」という行動規範を身に着け、失敗を恐れず信じたことを全うすることにより、はじめて変動する環境に打ち勝つイノベーションが達成できるのです。
「ものごとを正しく行う」と「正しいことを行う」とは全くちがうのです。
国内大手鉄鋼企業の製造部門で生産管理・品質管理を経験後、エンジニアリング部門でニューヨークに駐在し米国への鉄鋼技術販売に携わる。その後ドイツ大手貴金属精錬企業に転じ、副社長としてベルギー研究所副所長および東アジア地区支配人を兼務、中国、台湾、韓国、日本の支社長として会社設立・業務拡大に成功。その間、京大、阪大、中国東北大にて後進を育成。現在、地プロ事業統括者、デジ田地域DXプロデューサー、混声合唱団スティールエコー常任指揮、中国東北大名誉教授。