COLUMN コラム

vol.04「ものごとを正しく行う」と「正しいことを行う」

これまで日本の産業の強みは「ものごとを正しく行う」ことにありました。この場合の「正しく」とは「高い品質のものを効率良く作る」ことを意味しており、誰もが常に「ものごとを正しく」行い、良品を安定して安価に作り続けることで、日本の産業は育ってきました。日本人の真面目で勤勉な性格が高効率と高品質の日本の産業を支えてきたのです。こうした能力を経済産業省の「ものづくり白書2020」では「オーディナリー・ケイパビリティ」と定義づけています。
しかし企業を取り巻く環境が変わり、製品に対するニーズや価値が多様化している現在、企業にも変化が求められています。決められた「ものごと」を「正しく」行うことを実直に続けていくだけでは、変化することはできません。

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すべての日本企業に必要な能力「ダイナミック・ケイパビリティ」とは

ダイナミック・ケイパビリティの構成図

ダイナミック・ケイパビリティの構成要素(こちらの図はNapkin AIで作成しています)

このときに必要な能力が「ダイナミック・ケイパビリティ」です。これも経済産業省の「ものづくり白書2020」で紹介され、これまでの日本の企業に欠けていた能力として紹介されています。「ダイナミック・ケイパビリティ」とは3つの構成要素から成り立っています。3つの構成要素とはすなわち、下記の3つです。

  1. 脅威や危機を感知する「感知力(センシング)」
  2.  機会をとらえて競争力を獲得する「補足力(シージング)」
  3.  競争力を持続的にするため組織全体を刷新する「変容力(トランスフォーミング)」

つまり経営者には、事業に迫る危機や新しい機会を敏感に感じ取り、見つけた機会をすばやく掴みとり、これを利用して事業の進む方向を見定めたら組織の体制を固める、という3つの能力が必要であるということです。

経営者や従業員に求められるのは「正しいことを行う」という行動規範

このとき経営者や従業員に何よりも求められるのは「正しいことを行う」という行動規範です。事業の新しい目標を立てて、これまでに経験のないことを始めれば、当初の小さなつまずきや失敗はどうしても避けられません。こうしたときに従来の「ものごとを正しく行う」という“失敗を許さない行動規範“にこだわっていれば先に進むことができず、新規事業はたちまち行き詰ってしまいます。そんな時、「正しいことを行う」という行動規範を身に着け、失敗を恐れず信じたことを全うすることにより、はじめて変動する環境に打ち勝つイノベーションが達成できるのです。
「ものごとを正しく行う」と「正しいことを行う」とは全くちがうのです。

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