COLUMN コラム

vol.03「Bluetooth」と「WiFi」と「LTE」

工場や事務の生産性向上・品質向上には稼働や作業のデータを集めて解析し、効率を下げている原因を発見しそれを改善することが必要です。いわゆるIoT(Internet of Things)を用いた「見える化」を行うわけですが、このために必要なツールは、順に「センサー」⇒「通信回線」⇒「データストレージ」⇒「解析システム(コンピュータ)」⇒「UI(User Interface)(ディスプレイ)」です。現在、画像・振動・音響・温度など数多くのセンサーが登場し、利用可能となっており、必要なデータを収集する環境は整っています。しかし、多くの企業では通信回線およびストレージ(データベース)の構築がIoT実現のボトルネックとなり、IoT体制の完成が遅れているのが実情です。そこでここでは通信回線について考えてみましょう。

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「有線」と「無線」、どちらの回線を選択する?

センサーで検知したさまざまなデータをどのような通信回線を通じてデータストレージに送信するか、その最適な方法は、現場の環境により大きく変わります。
まず第一に検討するのは「有線回線」または「無線回線」の選択です。有線回線は無線回線のような電波の干渉が起きないため接続が安定するという大きなメリットがありますが、反面、有線ケーブルの敷設工事は建屋内の場合でも費用が嵩み、またもし将来、製造ラインのレイアウトを変更する必要が生じた時には配線工事をやりなおす必要も生じます。まして、建屋内ではなく屋外に有線回線を敷設する、たとえば工場と倉庫間をつなぐ、農場監視、物流監視など広範に敷設することは費用面からもほぼ不可能といえます。
これに対し、「無線回線」を選択した場合には、初期の工事費用はほとんどかかりません。そして無線回線としては「Bluetooth」「WiFi」「LTE」という3つの方式から選択することになります。

無線回線の「Bluetooth」「WiFi」「LTE」とは

「Bluetooth」

ひとつめの「Bluetooth」ですが携帯電話にも搭載されている技術で皆様お馴染みと思います。消費電力が少なく、ランニングコストも極めて低く保てますが、通信距離は短く、多くの場合10m以内という短距離での通信に使われます。通信速度も遅く、使用する周波数帯が2.4GHzのみであるため、他の機器との電波干渉が発生しやすいために、接続台数を少なくする必要があるという欠点があります。簡単に導入できますが用途が限られてきます。

「WiFi」

次に「WiFi」です。これは屋内でのネットワーク構築などに広く使われています。充分に速い通信速度で、通信距離も300mと長く、特に5GHz帯は安定しており、複数の機器の同時接続も可能という長所がありますが、障害物により電波が遮られやすく、工場のレイアウトによっては障害物を避けて中継端子を設ける必要があります。十分なセキュリティ対策も必要となります。工場内や企業内ですべてが完結する「オンプレミス」方式であればランニングコストを考えてもベストな方式かと思われます。

しかし、データストレージとしてクラウドを使うとすれば、現場・クラウド間の通信回線としてはVPN(Virtual Private Network)あるいはLTE(Long Term Evolution)を使うこととなります。データストレージにクラウドを使う理由はいろいろあります。たとえば、遠距離にある本社と工場、倉庫、ショップ間でデータを共有したい、営業マンが出先で在庫や生産進捗などの社内データをいつでもチェックできるようにしたい、業績の急速な伸びに応じて随時サーバーの容量を拡張していきたい、などの理由が考えられます。そんなときには、通信回線としてLTEを中心に採用するのも良いと思います。

「LTE」

「LTE」は携帯電話の通信方式として普及している方式で、非常に速い通信速度を持ち、映像・画像などの大容量のデータの伝送、長距離の通信、移動中の通信も可能です。ただし、地域によって最適の通信キャリア(NTTdocomo、KDDI、ソフトバンク)との契約が必要となり、ランニングコストがかかります。またセキュリティ対策も必要となります。

格安キャリアを利用したLTEの採用がオススメ

そこで格安キャリアを利用したLTEの問題解決の方法を紹介します。最近新規のMVNO参入が増えています。MVNO(Mobile Virtual Network Operator)とは大手キャリアの運営する回線を間借りして、独自の通信サービスを提供する企業を指します。こうした企業の提供するSIMカードをセンサーやカメラに取り付け、データを直接クラウド上のデータベースに発信するのです。このとき、一部のMVNOは大手3キャリアすべてに対応しており、通信環境に応じて自在にキャリアを選ぶことができます。またSIMは1枚月額143円からと安いうえ、契約はMVNOと一元管理システムでできるので必要に応じた増減も容易です。さらにクラウドでもオンプレでも閉域ネットワークの構築が可能なためセキュリティの問題も生じません。


このように通信回線については次々と新しいサービスが提供されています。常に情報を入手し、自社に最適なIoT体制を構築しましょう。

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