ひとが仕事をする理由
仕事をする目的、それは人それぞれです。もちろん、お金を稼ぐ(収入を得る)ため、というのは目的のなかで大きな部分を占めそうですが、それだけの理由ではないと思います。充実した生活を送りたい、自分自身が成長したい、社会や人々に役立ちたいから、などの理由もあるかもしれません。
「働く」の言葉の語源には諸説ありますが、中には「傍(はた)、すなわち周りの人が楽(らく)になる」という説があるようです。
確かに、どのような仕事も、必ず傍(はた)…世の中のだれかに、何らかの形で役に立っているものです。お金のため、自分のためだけでなく、自分の仕事、働きが社会や人々の役に立っていると心に刻むことで、よりいっそうの充実感を得ることもできるでしょう。
企業が事業をする理由
企業の場合はどうでしょうか。多くの企業が、社是や方針、目標、使命などを掲げていらっしゃいます。そして、その内容を拝見しますと、「事業を通じて社会のために…」「人々のために…」「社員のために…」と、語られていることが多いです。一方で、テレビや記事などで、評論家の方が「企業は利益をあげることが目的」といった旨のコメントをされていることがあります。
「利益」という言葉はより具体的で、説得力がある目的のように感じます。では、「社会のため」は言葉だけのきれいごとなのでしょうか?
私は、この「社会のため」という言葉は、けしてお飾りではないと信じています。しかし一方で、「利益をあげる」ことが間違っているなんてことも、もちろんないと考えます。ただ、「利益をあげることは大切だけれど、企業の最終目的ではない」のです。
継続して事業活動を行って社会や人々に貢献していくためには投資が必要で、その投資の元手を手に入れる手段として、売上・利益が必要。この順番を間違わないようにしなくてはなりません。
MOT(技術経営)で事業展開を
さて、社会に貢献する(ために、継続的に利益を上げる)には、変わりゆく時代を読んで、新しい技術開発・商品開発をしていかなくてはなりません。
ここで、MOT(Management of Technology、技術経営)という手法をご紹介させてください。
MOT(技術経営)とは
MOTとは、語源である「Management of Technology」の頭文字をとったビジネス用語です。日本では「技術経営」と訳され、科学や工学などのあらゆる技術的な知識を、企業内において管理・活用する方法を示しています。
つまり、MOTとは企業が自社の技術力を把握し、研究・開発の成果を商品・サービス・各種事業に結び付け、技術そのものに対しても経済的な価値を見出すことを指します。
引用元:あしたの人事online内「MOT(技術経営)とは?効果と導入方法、企業事例を紹介」より引用
会社にある技術・知識を柱として、新しい事業展開につなげていく経営手法で、この方法が、技術・アイデアを実用化して広く世の中に普及し、貢献していくために必要であると考えています。
しかし、そう簡単には新技術も新商品も生みだせないことは、企業を経営しているみなさん、お勤めのみなさんもよくご存じのところと思います。すばらしい技術やアイデア、ピカリと光る種があっても、実用化に繋がらなければ、利益を生み出すステージに進めません。技術の向上、事業としての戦略策定、財政面の心配、他社の分析、技術を守る知財戦略…いろいろなことを考慮しなくてはいけません。
ですが、これらは、自社のなかだけで完結させる必要もないのです。
私たち、財団コーディネーターの力を使ってください
私たち、公益財団法人わかやま産業振興財団の科学技術コーディネーター、新事業支援コーディネーターは、企業のみなさんがお持ちの技術、その強みを見出すお手伝いをさせていただいています。
力を貸してくれる関係機関のご紹介、支援情報のご提供、協力してくれそうな企業のご紹介もしております。もしかすると、私たちがご提案する企業は、みなさんの会社とは全く異なる分野の企業かもしれません。ですが、自社以外の視点から、技術を見つめなおすことで、思わぬ活用方法、課題解決の方法が見つかったりするのです。
和歌山県企業のみなさんがお持ちの技術を様々な事業の可能性におつなぎし、発展へのご支援をすることで、私たちは微力ながら社会に貢献したいと考えています。
和歌山県企業のみなさんが県内にとどまらず、広くグローバルに展開し、社会に貢献される(そしてもちろん、利益をうみだす!)ことを目指せれば幸いです。
まとめ
本コラムシリーズでは、自社の中だけで完結せず、さまざまな可能性を検討する…「協力すること」「連携すること」に主眼を置いた内容とし、企業同士の連携、産学官連携の基本や実態のご説明のほか、補助金や支援策、セミナーなどのご紹介もさせていただきたいと思います。
みなさん、これからどうぞよろしくおねがいいたします。
前職の化学系製造メーカーでは、主に国内や海外で素材開発や産業化学品(B to B)の研究開発を担当。シニアでは環境(エコ)に関する企業ミュージアムを担当し、幅広いお客様に対してコミュニケーションを行いました。好きなことは、絶景を見ること、ぶらりたび。目標にしていることは、ていねいに生きることです。