商標出願企業数の比率(都道府県別)を解説
図に中小企業数に対する商標出願企業数の比率を都道府県別に示しています。
前回のコラムでご紹介しました特許の場合と同様に、1位は東京都、2位は大阪府で、近畿の府県は全体的に上位にあります。
和歌山県は全国26位で、特許の36位に比べると順位は上位です。

都道府県別の中小企業数に対する商標登録出願中小企業数の割合
商標出願中小企業数/中小企業数
全国平均=1.02%
和歌山=0.50%(26位/47)
特許行政年次報告書2024年版より
和歌山県は特許出願率より商標出願率の方が4倍多い
特許出願の場合は、中小企業数に対する特許出願中小企業数の割合は和歌山県で0.12%でしたが、商標登録出願の場合は0.50%で、約4倍の中小企業が商標登録出願をしていることが分かります。
前々回のコラムでも書きましたように、商標権は特許権と比較して、出願や維持にかかる費用が比較的安価であることも理由のひとつかと思われます。
日本の商標制度は明治17年からスタート
さて、商標権は登録から10年間が保護期間ですが、10年ごとに更新が可能で半永久的に維持が可能です。
日本における商標制度は明治17年(1884年)6月施行の「商標条例」から始まりました。それ以来、日本で登録された商標は600万件程度あり、現在登録が有効に存在しているものは200万件を超えています。
日本最古、和歌山県最古の登録商標に注目
日本で存続中の最古の登録商標のもの、和歌山県で最古のものを、ご参考までに以下に示します。
どちらも酒の名称です。100年以上も前の登録だということで、ものすごく商標の重みを感じますね! 商品は現在も販売されています。
株式会社名手酒造店は、長年の商標登録の継続を表して、特許庁から「明治150年商標登録継続記念證」を贈られています。

明治150年商標登録継続記念證(証)
商標登録は早い者勝ち
商標登録は早い者勝ち(これを先願主義といいます)です。
例え80年前から使っている商品名や会社ロゴでも他人に商標登録されると商品名が使えなくなったり賠償金を求められたりする事もあります。
特にホームページやネット販売に力を入れておられる事業者様は要注意です。現在はネット社会です。登録商標に類似の商品名などは簡単に検索できます。
商品の露出度を高めたために訴訟を受ける事にもなりかねません。これらについて、INPIT和歌山県知財総合支援窓口(一般社団法人和歌山県発明協会)の方の以下の商標に関する資料に分かりやすく書かれていますので、ぜひご参考にしてください。
pdf資料 商標権について『あんたが良くても、こちらが困る』
商標は、ブランド化戦略には必要で、商品や会社ロゴなどを商標登録していくことは差別化のうえで重要です。
特許の場合には、ノウハウにしておくという選択肢もあり得ますが、商標の場合は、必要なものは登録しておくことが重要かと思います。
商品名や会社ロゴなど、まだ登録されていない場合は、ぜひともご検討いただき、ブランド化戦略にお役立てください!
次回は団体商標についてもみてみたいと思います。
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