COLUMN コラム

vol.08 企業のアイデアを守るヒーロー!要点解説その三「特許権の状況」

今回は、和歌山県の特許権の状況についてみてみたいと思います。

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「知る」のアップデート

知的財産(アイデアや創作物)を守り、他人に勝手に使わせない方法

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こんな人にオススメ!

技術・商品開発に、外部の力を借りたい方、自社技術を持て余している方

【都道府県別】中小企業数に対する特許出願企業数の比率

下図に中小企業数に対する特許出願企業数の比率を都道府県別に示しています。1位は東京都、2位は大阪府で、和歌山県は全国で36位と低くなっていますが、近畿の都道府県は全体的に比較的上位の傾向にあると言えます。

図  都道府県別の中小企業数に対する特許出願中小企業数の割合
特許出願中小企業数/中小企業数
         全国平均=0.32%
         和歌山=0.12%(36位/47)
              特許行政年次報告書2024年版より

(資料)・特許庁「都道府県別の中小企業数に対する特許出願中小企業数の割合」の2023年データから作成

(資料)・特許庁「都道府県別の中小企業数に対する特許出願中小企業数の割合」の2023年データから作成

 

また、2012年から2022年の10年間に和歌山県の大企業を除く中小企業から1,232件の特許が出願されました。この内訳をみると

①電気・機械系企業 505件 41%

②化学・医薬系企業 196件 16%

③食品系企業    122件 10%

④日用品企業    111件 9.0%

となっています。梅干し等の食品系企業、海南に多い日用品企業の特許出願が多いのが和歌山県の特徴といえるでしょう。

特許のメリット・デメリット

前回のコラムでも書きましたが、特許は「自社の技術や商品を守る、他社の類似技術や商品を排除できる」などの大きなメリットがある反面、「特許の出願や維持には費用がかかる」などのデメリットもありますので、メリット、デメリットをよく検討して、メリットが大きいと判断されるケースはぜひとも出願されるのがよいと思います。

和歌山県発明考案表彰制度受賞に注目!

和歌山県では、発明考案思想の高揚を図り、県産業の発展に寄与することを目的として、毎年度、「和歌山県発明考案表彰制度」で優れた発明や考案等によって科学技術の改善向上に貢献した方の功績をたたえ、表彰を行っています。

我々、公益財団法人わかやま産業振興財団のコーディネーターは、和歌山県内企業の優れた特許を毎年この制度に推薦しています。

令和4年度に推薦させていただいた中で以下の2件は、令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(技術部門)も受賞されました。

株式会社かつらぎ産業 久保貴弘様「乳酸菌及び発酵物の製造方法の開発」

東洋ライス株式会社 雑賀慶二様「精白米と同じように炊きやすく食味の良い玄米の開発」

受賞によって、製品の大きなPR効果があったという企業も多く、大変好評をいただいています。

人工知能(AI)を発明者とする特許が認められる?

特許に関する最近のトピックスをひとつ。

人工知能(AI)を発明者とする特許は日本では認められず、特許を受けられる発明者は自然人に限られる、という判決がありました。海外でも「権利の帰属は人に限る」という見解が主流です。

ただし、産業界の発展にAIが果たす役割は拡大していますので、日本政府もAI開発者に特許権を認める方向で制度設計を始めたようです(日経新聞2025/1/31より)。

まとめ―海外出願支援の補助金もご活用ください

なお、わかやま産業振興財団では、海外出願支援補助金(海外市場の販路開拓や模倣被害対策など外国での事業展開を計画している県内中小企業を対象に、特許、実用新案、意匠、商標の取得に向けた外国出願費用の一部を補助します)も毎年募集しておりますので、海外展開の為にもぜひともご活用ください。

次回は、和歌山県の商標権の状況をみてみます。

興味が湧いたら、財団のテクノ振興部まで

産学官連携や知財活用のことに少しでも興味をお持ちでしたら、まずはお気軽にご相談ください。

公益財団法人わかやま産業振興財団 テクノ振興部テクノ振興班
和歌山市本町二丁目1番地 フォルテワジマ6階 
TEL 073-432-5122

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