「そんなことも相談していいんですか?」
先日、ある起業家を訪問した際も、明るく振る舞う起業家の言葉の中から「孤独」を感じることがありました。
私:「他の起業家さんからも、〇〇についての相談もあったりしますよ」
と相談事例をチラッとご紹介したら、
起:「そんなことも相談していいんですか? ボクも相談していいですか?」
と言われ、そこから1時間ほど、いろんなお話を聞かせていただいたということがありました。この起業家のように、目の前に相談できる機会がやってきたら、遠慮なくつかみましょう。相談された私も、少しでも孤独のモヤモヤ解消のお役に立てたなら嬉しいです。
相談することのメリット「新しい視点を得られる」
自分の中だけで考えていると、どうしても同じ視点の発想が堂々巡りするだけになったり、同じ壁にぶち当たって止まって、振出しに戻って、一向に前に進めないということが起こったりしがちです。
人はそれぞれ違う視点を持っています。「自分の課題解決の糸口が見つかるかも」…くらいの気持ちで相談してみましょう。
新しい「視点」だけでなく、知識や情報も得られるかも…ですよ。
相談することのデメリット「混乱を招く場合がある」
同じ課題に対して、複数人からまったく別、または、逆のアドバイスをもらった時に混乱する場合があります。人はそれぞれ違う立ち位置から、違う優先順位を持って課題を見ているから、そのような事象が起こるのです。
例えば、売上高を伸ばそうというときに、「実店舗」推進派と「オンライン」強化派のアドバイスに分かれたとします。どちらも間違いではありませんよね。
でも、起業家側には潤沢に資金や時間があるわけではないので、どちらかの作戦を選ばないといけません。このような場面に遭遇したら、その人のアドバイスの背景(視点、優先順位、価値観)を知ることができるような質問をしてみるようにしましょう。
例えば、「なぜ実店舗を伸ばす方がいいと思うのですか?」「実店舗の売上を伸ばすメリットはどこにありますか?」…といった具合です。
決断するのは経営者(あなた)です
経営に「正解」はありません。現在地からゴール(課題解決後のあるべき姿)を目指すのには、通る道の選択肢がいろいろ(近道・遠道、砂利道・高速道路…等)あります。
高速道路は「最短時間」かもしれませんが、それが自社にとって最善なのだろうか? もしかしたら、「最短距離」の方がよかったり、または、ローカル道を走ることで人との出会いがあり、事業の次の打ち手につながったりするかもしれません。
可能性、優位性、生産性等のさまざまな視点から、何が今、事業にとって重要なのかを決断するのは経営者(あなた)で、専門家ではありません。
「なるほど。だから、この専門家は『A』という選択肢を薦めるんだな」…という具合に、その人の判断の背景さえ踏まえていれば、真逆のことを言う人が乱立したとしても、混乱することはないのではないでしょうか?
ぜひ、ダイバーシティ溢れるアドバイスをドーンと受け止め、起業家ライフを充実させてくださいね!
中小企業診断士。大卒後、東京・ロンドンで編集者として活動後、メガバンクにて為替取引に従事。帰国後に㈱きのくに未来ビジネスセンターを承継し、県内初の創業スクール(中企庁事業)を受託する等、創業や中小企業経営の支援継続中。