COLUMN コラム

vol.06 Process Innovation 製法革新・工程革新(その一)

一般に企業の寿命は35年といわれますが、わが国には200年以上の寿命の企業が1200社もあります。世界の200年企業のうち80%が日本にあるのです。

わが国に長寿の企業が多いのは、その理念を家訓として守りつつも、業務形態は時代の変化に応じて巧みに変えていった結果と言えます。今を生きる私たちも、現在の激動するビジネス環境を乗り切るには、絶え間ないカイゼンによる企業体力の醸成も重要ですが、同時に新しい製品や製造プロセスの創造による変革も欠かすことはできません。

アップデートイメージ

「知る」のアップデート

デジタル社会を生き抜く思考法を学ぶ

おススメイメージ

こんな人にオススメ!

製造業必見☆生産性向上したい方、AI・IoT活用、DX推進担当者の方

日本CSRの原点、商人市井学者 石田梅岩 の教え

300年以上も昔、元禄時代はバブルの時代でした。1704年、バブルが崩壊して多くの企業が破産したとき、生き残った企業の意識改革がなされ、その中心となったのが日本のCSR(Corporate Social Responsibilityの略で、企業が社会や環境、従業員、投資家、地域社会などの利害関係者に対して責任ある行動をとることを求める考え方)の原点とも称される、商人市井学者の石田梅岩でした。

石田梅岩(いしだ ばいがん)はどんな人?

江戸時代の思想家、倫理学者。石門心学の開祖。諱は興長。通称、勘平。丹波国生まれ。

出展:ウィキペディア 石田梅岩

「投機的な事業を戒め、本業を中心にして人々のお役に立つ」という企業にとって不変の理念・信念を大切にしながらも、業態は柔軟に変化・進化することが必要との教えは、多くの企業の家訓となり、例えば三井340年、住友350年の歴史の礎ともなっています。

現在の言葉に置き換えれば「思い付きの事業は行わず、コアビジネスを中心に事業を展開し、カスタマーオリエンテッド(企業の経営活動において、顧客のニーズに応え、顧客の満足度や利便性を向上させることで、自社の利益につなげようとする考え方)に徹する」というまさに今、私たちの行動指針となるべき教えです。

「信用」「徳」「志」の積み重ねが「暖簾」となり、企業を支える

企業にとり大切なものは「信用」「徳」「志」であり、この積み重ねが「暖簾(のれん)」として企業を支え続けます。

現在はデータ社会ですが、「データ」は整理して初めて「情報」となります。さらに「情報」は解析されて「知識」となりますが、「知識」というものは時代と共にどんどん変化し陳腐化します。「知識」には寿命があるので、これを抽象化し「知恵」として蓄積されなければなりません。

これを日本の企業は「暖簾」と呼んで永く大切にしてきました。「暖簾」とは綜合された「知恵」の集積であって、決して寿命の短い「知識」「技術」「技能」の集積ではないのです。日本の企業はこうして「短期的価値(株主経営価値)」ではなく「長期的価値」を重視して生き延びてきました。

長寿企業の家訓をご紹介

以下に、例として長寿企業の家訓を紹介します。

実はマネジメントの父、ピーター・ドラッカーも「イノベーションのための17か条」の中で同様のことを述べていますので次号で紹介します。

我が国最古、1400年以上続く現存企業の社訓とは?

最後に我が国最古で1400年続いている現存企業株式会社金剛組(本社:大阪)の社訓を紹介しますので参考にしてください。

  1. 儒教・仏教・神明の三教の考えを、よく考え、心得よ
  2. 読書・そろばんの稽古をせよ
  3.  世間の人々と交際しても決して出すぎるな
  4. 大酒は慎め
  5. 身分以上の華美な服装はするな
  6. 人を敬い、穏やかな言葉遣いをせよ。但ししゃべりすぎるな
  7. 目下の人には深い情けをかけ、穏やかな言葉で召し使え
  8. 何事も他人と争うな

要約すれば、本業重視、分相応、修行励行ということですが、1400年も続いたということは業種が宮大工というニッチな仕事で特殊な技術を必要とし、大会社はコストが合わず手を出さないこと、顧客が社寺という永続性のあるクライアントであることなどがあると思います。(続く)

この記事をシェアする

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • LINEでシェアする

カテゴリ

注目ワード