COLUMN コラム

vol.07 産学連携のメリットとデメリット

こんにちは、和歌山大学産学連携イノベーションセンターです。
このコラムでは学内にある組織の一つの産学連携イノベーションセンターが、本学が取り組んでいる産学連携を中心にその活動を紹介していきます。

Vol.4のコラムでは本学の産学連携の制度をご紹介しました。多くの方が気になっているのは、産学連携に取り組むことによって受けるメリットとデメリットではないでしょうか。

大学の産学連携担当者としては、本当は企業のデメリットについてはお話ししない方がいいのかもしれませんが、企業のみなさまに安心して産学連携に挑戦していただくためにも、今回は正直に企業における産学連携のメリットとデメリットをご紹介します。

アップデートイメージ

「知る」のアップデート

産学連携で企業の課題を解決し、新ビジネスを創出する

おススメイメージ

こんな人にオススメ!

技術・商品開発に、外部の力を借りたい方、自社技術を持て余している方

企業から見た産学連携のメリット

多くの大学教員は知識量が豊富です。自分の研究分野についてはもちろん、その周辺分野についてもいろいろなことを知っています。自分の専門分野から少し外れていても、その課題に興味があれば取り組んでくれることがあります。企業では気づかなかったこと、わからなかったことを丁寧に教えてもらえ、課題の解決に力を注いでくれます。

そして、多くの大学教員は課題の解決に親身になって取り組んでくれます。秘密を守りながら、丁寧に最後まで対応してくれます。

企業から見たデメリット – 時間スケール

大学は研究機関でもありますが教育機関でもあります。教員は学生の卒業研究の指導や講義、各種書類の作成、なかには大学の運営などにも関わりながら研究に取り組んでいます。多くの教員、特に理系の教員は、自分だけでは共同研究に取り組むことが難しいため学生に手伝ってもらっています。ですから、どうしても学生の卒業研究のスケジュールに合わせなくてはなりません。

結果として企業の方々から見ると進行が遅く見えてしまいます。こればかりはどうすることもできません。企業の方々に共同研究のお話をすると必ずこの話題になります。そのことだけ集中して取り組むことができないため、少し時間をいただくことをぜひご理解をいただきたいと思います。

企業から見たデメリット – 知識は日々の積み重ね

よく大学の知識や技術は無料で入手できるとお考えの方がいらっしゃいます。残念ながら、大学の教員の知識や技術は、これまでにコツコツと取り組んできた努力の結晶です。ですから、特に最新の技術に関しては無料で提供することは難しいです。

研究者は常に研究に関する検討を行い、遠方に資料採集に出向いたり、何度も実験を繰り返したり、得られた結果の考察に時間を費やしたり、研究成果を学術学会で発表して同じ分野の研究者と議論したりを経て、やっと研究成果が形になります。

このようにして得られた研究成果ですから、タダでハイっとお渡しするのはとても難しく、企業でその成果の実用化や応用をお考えになるのでしたら、研究者もそれに共同研究などの形で参画するなどの方法によらなければ、次の展開に進むことが難しいです。特に、研究成果の実用化に関しては大学の教員は疎い方が多いので、ぜひ共同研究として参画させていただきたいと思います。

企業から見たデメリット – 経費の積算

以前はこのくらいの課題解決なら大体このくらいかなというざっくりとした計算で共同研究等の経費を決めていました。

しかし、いまは実験などに必要となる試料の費用はもちろん、その課題解決にかかる時間から人件費を計算して積算して足し合わせることで直接経費を計算し、また間接経費として契約などの事務手数料をいただかなくてはなりません。

大学側から見たメリットやデメリット

共同研究等で取り組む課題は、新規性や学術性の観点から研究論文になりにくいという大きな問題があります。大学の教員の評価には研究論文などの研究業績が大きく影響します。

残念ながら、このことがネックとなって、共同研究に取り組むことに積極的でない教員もいます。また最近では研究や教育以外の日々の業務が多忙なため、共同研究などに取り組みたくてもできなくて申し込みを断る教員もいます。

一方で、新しい研究テーマを「新しい研究テーマがいただけた」と喜ぶ教員もたくさんいます。産学連携イノベーションセンターとしては、共同研究等を取り組むことによって、アカデミアという狭い世界 では得ることのできない刺激を得られること、企業の方々と話をすることによって、自身の研究がどういう分野で社会の役立つのかということや、社会実装にはまだどういうところが足りていないということを知ることができるということを、もっと教員に啓発したいと考えています。

企業の皆様には以上のことをご理解していただけたら企業だけではできなかった成果を得ていただけるのではないかと思います。

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