海外ビジネス実現支援事業
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活用事例
ABIC専門員派遣事業
圧・高圧・油圧継手の製造・加工及び3ダイス (ねじ山を補正する時に使用する切削工具) 転造加工等
櫻井和男
ABICを利用するようになった経緯
桜井鉄工はかつらぎ町に立地し、1960年の設立以来、低圧・高圧・油圧継手の製造・加工及び3ダイス (ねじ山を補正する時に使用する切削工具) 転造加工等を行なっている。2014年には東京営業所(港区虎ノ門)を設立。現在は4兄弟の4本柱で鉄工所を営んでいる。
現在、海外への販路開拓のため当財団のABIC専門員派遣事業を活用中。今後の海外展開の展望について櫻井和男代表取締役に話を聞いた。
海外進出の第一歩として、期間限定で中国のECサイト、アリババを利用していた際、商品を出品したものの海外企業への対応に困っていた。そんな折、当財団の相談員からABIC事業の案内を受けたのが始まりだ。ABIC事業とは、海外展開のノウハウを求める県内企業に対し、海外ビジネスに精通した大手総合商社OBなどをビジネスアシスタントとして派遣する事業だ(採択性)。海外での商談アレンジや通訳、商品開発へのアドバイスなど、海外展開の実現に向けた総合的なサポートを行う。
同社に対するABIC専門員からの主なサポート内容は、アリババを通して送られてくる海外からの問い合わせメールに対するフォローアップや、価格交渉についてのアドバイスだ。同社にとって初めての海外企業とのやり取りだったため、とても助かったという。ここで海外進出への感触を掴んだ同社は、本格的に海外販路拡大の実現化にむけて動き出すこととなる。アリババとの契約期限終了後、同ECサイトから撤退。現在はB to Bの海外展開を視野に入れて、引き続きABIC専門員と面談を行っている。
利用してよかったこと
「海外でのビジネス経験が豊富な ABIC専門員に相談することにより、どこから手をつけていいのかわからなかった海外進出の話がより具体的に行える。」と櫻井社長は言う。専門家とフィージビリティスタディ (実行可能性調査) を事前にしっかり行うことで、実現可能性の高い計画・代替策の決定、プロジェクトの計画が可能となる。少し前の日系企業は「とりあえず海外に行ってみる」という感覚の企業が多く、出費だけ嵩むケースが多かったが、最近は同社のように事前に専門家と面談を行い、計画を持って海外進出に臨む企業が増えてきている。
現在、同社のビジネスアシスタントは、ロシア、台湾、マレーシア、フィリピンでの駐在経験のある丸紅株式会社のOBで、市場調査、マーケティングや海外販売戦略の策定に関するアドバイスを行っている。同社は今まで専門家と共にロシアや韓国企業との商談を行ってきた。最近は、コロナの影響で、東京営業所で行っていた定期面談は休止中だが、コロナの状況が落ち着いたら再度具体的に話を詰めていく予定だという。
「来年頃から海外展示会にも積極的に出展したい。」と意欲的な櫻井社長。「ものづくり職人としては、ドイツの展示会にもいつか出展してみたい。」と将来への海外展開の展望も語ってくれた。