経費には「2つの顔」がある

まずは、出ていくお金(経費)を整理しましょう。経費は大きく2つに分かれます。
① 変動費(売上に比例するお金)
変動費:パンを1個作れば作るほど増える材料費や包装代など。
② 固定費(売上がゼロでもかかるお金)
固定費:家賃、通信費、人件費など、お店を開けているだけでかかる経費。
例えば、100円のパンを作るのに材料費が30円かかるとします。
この30円が「変動費」です。
売値100円から変動費30円を引いた70円が「限界利益」となり固定費を支払うための原資になります。そして、この「限界利益の割合(限界利益率)70%」が方程式のキモになります。
限界利益って聞き慣れないですよね!
英語の「マージナル・プロフィット(Marginal Profit)」を訳したもので、商品・サービスを1個売るごとに増加するマージン(粗利益)に由来します。
「トントン」のライン(損益分岐点)を計算してみる

仮に、家賃などの「固定費」が年間560万円かかるとします。この固定費を、先ほどの「限界利益率」で割ってみましょう。
560万円(固定費) ÷ 70%(限界利益率)= 800万円
この800万円が、経費(固定費+変動費)をちょうどまかなえる「損益分岐点売上高」となります。
ちなみに英語では、損益分岐点売上高を「BEP(Break Even Point)」と言います。
「起業する人が知るべき方程式」
固定費 ÷ 限界利益率 = 損益分岐点売上高(BEP)
しかし、これだけではトントンになるだけで、初期投資の回収や将来への投資に使える利益が残っていません。
「ワクワクする将来」を数字にする
もし、年間140万円の利益をしっかり残したいと考えたら、目標はどう変わるでしょうか?
(560万円 + 140万円) ÷ 70% = 1,000万円

年間1,000万円。この数字を達成できれば、すべての支払いを済ませた上で、140万円を次の成長のために使える状態になります(利益にかかる税金は払わないといけませんが・・・)。
ここで一つ、心に留めておいてほしいことがあります。それは「借入金は、将来の利益の前借である」ということです。起業時に融資を受ける方は多いですが、借入金の返済原資は、売上ではなく「利益」です。つまり、利益が出ていなければ、借金は返せません。
利益とは、単に「手元に残ったご褒美」ではなく、「過去(投資)の回収」「将来への投資」そして「借りたお金の返済」という、事業を継続するための命綱なのです。
では、この1,000万円の目標売上高をどうやって達成していくのか。その具体的な戦略については、次回お伝えします。
中小企業診断士。大卒後、東京・ロンドンで編集者として活動後、メガバンクにて為替取引に従事。帰国後に㈱きのくに未来ビジネスセンターを承継し、県内初の創業スクール(中企庁事業)を受託する等、創業や中小企業経営の支援継続中。