CASE STUDY 事例紹介

「利益・配分・投資」にこだわる経営で、従業員全員が誇れる会社へ

株式会社メイワ

株式会社メイワ代表取締役社長髙橋氏

紀の川市に拠点を構える株式会社メイワ(以下、メイワ)は、冷熱事業と自動機事業を軸に、機械の開発・設計・製造を行う企業です。

同社は、新幹線の空調設備への採用実績を持つ冷熱事業や、高精度な充填機の製造で国内トップシェアを誇る自動機事業など、幅広い分野で高い技術力を発揮しています。

2024年に代表取締役社長に就任した髙橋健太氏は、メイワをさらなる成長へと導くべく、イノベーションを掲げた挑戦をスタートさせています。今回は、同氏の経歴や経営にかける想いを伺いました。

冷熱事業溶接設備。空調機部品製造ラインでは、全自動ロボット溶接機により効率的な生産を行っている。

冷熱事業溶接設備。空調機部品製造ラインでは、全自動ロボット溶接機により効率的な生産を行っている。

空調機の機能部品の圧力容器

空調機の機能部品の圧力容器

冷熱事業溶接設備。空調機部品製造ラインでは、全自動ロボット溶接機により効率的な生産を行っています。

自動機事業の充填キャッパー。お客様のニーズに対応した充填機等の食品用自動包装機械を開発

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企業の核心的利益である付加価値を生み出すコア業務へ集中

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税理士への挑戦から経営者の道へ

髙橋氏はもともと税理士事務所で15年間勤務しており、税理士資格試験に挑戦していた中で現会長である父親から入社を誘われました。

「会計の仕事も充実しており、数年間決断できずにいましたが、父にメイワの経営理念を説かれ、最後は『従業員のために』という言葉に心を動かされました」と語る髙橋氏は、入社後、製造現場で部品の組み立てからスタート。

「人に教わらなければ何もできない、本当にゼロからのスタートでした。最初の頃は苦しい時期もありましたが、チャレンジするからこそ仕事が楽しくなるんだと知れたことが大きな糧となっています」と振り返ります。この経験は、経営者としての視点に重要な影響を与えました。

挑戦と市場開拓の精神

髙橋氏が最初に配属されたのは自動機事業でした。同事業は、ジャムや調味料などの粘性の高い液体を充填する機械の製造を行うもので、大手空調機メーカーの部品製造から始まったメイワが、異業種の市場開拓を成功させてきたことを象徴する事業でもあります。

髙橋氏は「当社は創業以来、様々な挑戦を繰り返し、新たな市場を切り拓いてきました。それはこれからも変わりません」と自信を見せます。

最近では冷熱技術を応用したドリンクサーバーのOEMにも取り組んでおり、新たな成長の柱として期待されています。

メイワが開発した大手飲料メーカー提携のドリンクサーバー。従業員の福利厚生向上のために導入する企業も多いそう。

メイワが開発した大手飲料メーカー提携のドリンクサーバー

営業のDX化――顧客開拓の新しい形

髙橋氏が自動機事業の統括責任者となり、まず取り組んだのは営業手法の変更でした。同社では電話営業を廃止し、公式サイトとは別に顧客の課題解決に特化したソリューションサイト「液体充填機・充填ライン.com」を開設。

展示会でつながった顧客に情報発信を行い、製品動画や納品事例を通じて製品の魅力を伝えています。その結果、サイトからの問い合わせ件数が「液体充填機・充填ライン.com」開設以前の約20倍にまで増加するなど、目覚ましい成果を上げています。

社内の意識改革と一体感の醸成

髙橋氏が代表として取り組む重要な課題の一つが、従業員の意識改革です。冷熱事業と自動機事業がそれぞれ異なる特性を持つため、部署間での関心が薄いことを危惧していました。

この課題を克服するために、幹部社員を集めた事業横断的な議論の場を設け、月1回の全従業員が参加する朝礼で繰り返し経営理念を共有。

「自社の技術や成果を互いに誇れる会社にしたい。従業員全員がメイワの営業マンになる」との思いで、一体感の醸成に取り組んでいます。

未来を見据えた経営――「考える集団」への進化

髙橋氏が目指すのは、「考える集団」としてイノベーションを生み出す企業です。2025年にはバックオフィスの業務改革を実施し、非効率な業務の見直しや自動化を進める予定です。具体的には、各現場の業務を全て棚卸し、注力すること、廃止すること、機械で代替できることを選別し、現場から改革を推し進めます。

「たとえば、効率が悪いやり方をしている業務があったとしても、現場のリーダーがそれを把握し、改善すると決めなければ従業員はなかなか変えることができません。当社はこれらの業務改革を通じて、より高付加価値を生む業務に人員を集中し、持続可能な成長を実現していきます」

イノベーション宣言――「利益・配分・投資」にこだわる経営で、従業員が誇れる会社へ

インタビューに応じる髙橋社長。仕事をする上での心得は「大切なことは何度も繰り返し伝えること」と教えてくれた。

インタビューに応じる髙橋氏。仕事をする上で大切にしていることは、「大切なことは何度も繰り返し伝えること」

「メイワの経営理念は『社会に存在価値ある企業になること』。その実現には、従業員が誇りを持てる会社作りが不可欠です。社会に存在価値ある企業というのは、従業員が自分の会社を好きで、自分の会社の商品を自慢して、誇りに思うような会社だと私は思います。私自身、15年間は従業員の立場でした。だからこそ、指示されることをただこなすときよりも、自分自身の頭で考え、創意工夫したときのほうが驚くほど仕事が面白くなったり、仕事を上司に評価されて給与があがったりすることに喜びを感じることがわかります。従業員は経営者の見えないところで一喜一憂している、そのことをきちんと考えていきます」と話します。

また髙橋氏は、前職での経験から会計業務に精通し、利益をあげるための綿密な事業計画を立てることが得意です。

「『利益・配分・投資』にこだわる経営で、従業員の努力が正当に評価され、次世代への投資を惜しまない体制を目指します。そして従業員全員が誇れる会社を作ります」

そう語る髙橋氏の目には、未来への揺るぎない信念と熱い想いが宿っています。その歩みは、メイワのさらなる飛躍を予感させるものです。

株式会社メイワ代表取締役社長髙橋氏

髙橋 健太 氏 プロフィール

1977年  和歌山市生まれ
2001年  溝上税務会計事務所 入社
2015年  株式会社メイワ 入社
2017年  和歌山ものづくり経営改善スクール 受講
2022年  和歌山県企業ソムリエ委員会認定企業 受賞
2024年  株式会社メイワ 代表取締役社長に就任

会社名 株式会社メイワ
所在地 〒649-6503
和歌山県紀の川市長田中345-1 
創業 1967年
TEL 073-73-7300
URL https://www.w-meiwa.co.jp/
業種 冷凍・空調機器及び産業用自動包装機械の開発・製造業 

同社が活用した「わかやま生産性向上スクール」の詳細はこちら
※この記事は、2025年3月26日発行「わかやま産業通信19号」に掲載した内容を転載し、web用に改修したものです。

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