地球の寿命を1000年延ばす
和歌山県の化学メーカー、株式会社ユニカルは、創業以来、地球の寿命を1000年延ばすことを使命としています。同社は化学産業において、人体や自然への影響が懸念され、現在は法規制の対象となっている塩素系溶剤やフロンの代替製品(※LBKシリーズ等)を、早くから開発してきました。
国内で地道に販売実績を積み、経営基盤が安定した1997年頃に、海外進出に乗り出しています。
※ ワイヤーの傷防止剤や湿式伸線潤滑剤及び切削潤滑剤として人体及び環境安全性の向上、長寿命・潤滑力向上によるコストダウン等に貢献する水溶性潤滑剤
キーマン(外国人人材)の活躍で海外販路を急拡大
同社の海外進出は、大手商社を伴っての台湾進出から始まりました。しかし、小林氏によると、商社を通じて話す現地企業はどこかよそよそしく、希薄な関係性のまま、3年が過ぎたそうです。
その後、キーマンとなる外国人人材のスカウトに成功し、現地企業との直接取引を開始すると、そこから同社の海外展開が大きく動き出しました。そのキーマンが、現在、常務取締役を務める中国人の周さんです。
「周が間に入ると、それまで他人行儀だった現地のオーナー達が、利害を超えて友達のようになります。そこから、弊社の商品の良さを理解していただいたオーナー達からの評判が評判を呼び、4年で台湾のステンレスワイヤー製造業界でトップシェアを獲ることができました」
業界最先端の製品づくり
そんな同社のビジネスモデルは、ニッチな市場で、最先端の製品を開発し続けること。
「時には製品を模倣されることもあります。しかし、弊社はさらに優れたものをつくり続け、業界の最先端を走ります」と小林氏は自信たっぷりに語ります。
近年は米国での販路開拓にも成功し、成長著しい上場企業の大規模な製造ラインへの採用が決まりました。取引企業に見合う社格となるため、今年4月に資本金を6千万円に増資しています。
市場が成長する国を見極め、ヒット商品を世界で横展開する
小林氏に、海外展開の成功要因を伺うと、「台湾からスタートしたこと」だと振り返ります。
当時、台湾企業が大きく伸びていた時代で、オーナー企業が中国やタイ、ベトナムなどのアジア各国に進出するとともに、ユニカル製品のシェアも拡大の一途をたどりました。
「海外でまず足場となる人間関係(場所)を作り、そこを拠点にヒット商品を横展開する。そうすれば、スピード感を持った事業成長が可能です」
同社は今後、財団を通じた専門家の支援を受けながら、法規制の厳しい欧州での販路開拓にも臨みます。
永久寿命で、産廃を無くす製品の普及を目指し、大胆な海外販路開拓に取り組む同社から、今後も目が離せません。
小林 真治氏 プロフィール
1957年 大阪府大阪市生まれ
大学卒業後、株式会社内田洋行 入社
1983年 株式会社ユニカル 入社
1999年 「金属の洗浄剤及びこれを用いた金属の洗浄方法」特許取得
2003年 大韓ユニカル設立
2006年 代表取締役に就任
2012年 和歌山県橋本市へ工場移転
2016年 「脱スケール剤」特許取得
2019年 アメリカテキサスに法人設立の準備事務所を設置
2021年 和歌山県企業ソムリエ認定企業に選定
2021年 「水溶性潤滑剤」特許取得
2023年 「防錆皮膜形成用液状組成物」特許取得
会社名 | 株式会社 ユニカル |
---|---|
所在地 | 〒648-0005 和歌山県橋本市小峰台2丁目9-9 |
創業 | 1981年 |
TEL | 0736-34-8300 |
URL | http://www.unicaltech.com |
業種 | 化学工業製品製造業 |
※この記事は、2024年8月27日発行「わかやま産業通信18号」に掲載した内容を転載し、web用に改修したものです。
「知る」のアップデートは一記事から。みなさんのビジネスを成長させる『知恵』を随時お届けします!